In Focus 4  7月6日

 彼女はなにを思うのだろう。
 
 まさにこの作品のタイトルは「思」







 日本画・馳平容子の作品。

 少し俯きかげんで物憂げに目を伏せ、思いを巡らす彼女の様子が、

 あまりになごやかで、ふと足をとめる。

 「ああ、彼女は今きっと、しあわせなんだなあ。」

 ぼんやりとそんな風に想像し、そうしていると、彼女自身のおだやかな感情とか、

 あたたかな体温さえも、こちらにじんわりと伝わってくるようで見入ってしまう。

 繊細な髪の毛や、透けるようなすべらかな肌、胸元にふわりととまるコサージュ。

 女性的な魅力をたたえた彼女はいったいなにを思うのか。

 向かい合って考えてみる。

 雲のようなふきだしをふわふわと作品右上あたりに用意して、真っ白なそこに

 文字を浮かべる。


    「 肉 ま ん 、 た べ た い 。 」

 ……うーん、なんか違う。 いや、大分違う。

 でも浮かんでくるものは仕方ない。

「 今日、部屋に飾るお花は、何にしようかしら。 ポピー、バラ、カーネーション、

 ああ、迷ってしまう。 」

 こういうセリフをふきだしに並べたいのに、「 肉まん、たべたい。 」は、

 居座り続ける。

 白くてふかふかであつあつの肉まん。それをぱっくりと頬張る冬の日。

 しあわせそうな彼女をみて浮かぶ「肉まんたべたい。」は、
 
 結局私にとってのしあわせの象徴なのかもなあ。

 と、これもまたぼんやり思ってみた。



 こちらは大槻悠希の「浮城」








 夢の中に出てくるようなお城が、薄暗い部屋の中、唯一照らされた場所に浮かび上がる。

 私はこの城を、見上げるような格好で見たい。 

 そう思い、作品の前で体育座りの姿勢をとり、眺めてみる。


 お城をつつむ空気は、こちらの世界よりも少しだけあまくて、

 そのにおいが鼻をかすめる。

 風は吹いていない、けれど、空の雲は私たちが気付かないほどに、でも確実に

 ゆっくりと流れていく。

 どこか遠くから、微かな音楽が聴こえる。

 わたしはいつの間にかお城の世界の住人で、あまい空気の中に身を置き、

 ただただ目の前の城を眺め続ける。

 かわいらしい造形のそのお城には、カラフルな小窓、ヘンテコな向きについた階段、

 不思議な幾何学模様、うまに似た四つ足の動物、空に向けられた望遠鏡……

 そのどれもが、一見妙ちくりんなもののようで、

 実はこのお城にはなくてはならないものとして奇妙なバランスを保っている。

 空は淡いブルー。
 
 あつくもなくさむくもないその場所には青々と草原が広がる。
 
 少し距離を置き、城に登ることは一切考えず、私は、ただただこの城を眺め続けていたい。




 こんなに可愛らしい作品をつくる大槻さんを講師に迎えて、七夕の日に(つまり明日!)

 陶器の器をつくるワークショップを行います。
 
 どんな陶器ができるか楽しみですね!

 



 

■出品作家によるワークショップ  7月7日(日) 11時〜15時30分(予定)

 『陶器のお皿を作ろう』
  講師:大槻悠希 参加費:お一人2500円(材料費・焼成費込み/送料別) 
      定員:10名程度 <要予約> 持ち物:エプロン・手拭い(汚れて良いもの)






In focus 4 ー卒業生の現在ー

2013年 6月 22日(土)〜 7月 15日(月・祝)

開館時間 10:00 - 18:00 

入館料  無料 
休館日  火・水曜日(祝日開館)



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